リハビリの求人を検索していると、訪問リハ(訪看)の給料が高く、理由が気になったり、逆に心配になったりしますよね。
【結論】訪問リハの給料は今現在高いが、求人票の給料だけで選ぶのは危険
結論から言うと、訪問リハ(訪看からのリハ)の給料は現在高い傾向にありますが、求人票の給料だけで選ぶのは危険です。
給料だけを見て判断すると、昇給率が低く給料が上がらず、後悔するリスクがあります。
特に、2024年度の診療報酬改定によって収入減少の可能性がある事業所もあるため、慎重な職場選びが必要です。
しかし、重要な昇給率を公開している事業所は少なく、自分で調べるのには限界があります。
訪問リハ(訪看)への就職や転職後に「最初の給料は良かったのに、全然昇給しなくて後悔」したくない人は、転職サイトを上手に利用して、昇給率の情報をゲットしましょう。
訪問リハビリの給与は、魅力に感じる反面”怖さ”もありますよね。
就職後に失敗したくないからこそ、慎重になるのも当然です。
かといって、求人サイトは、「しつこい?」「怪しい?」と心配になりますよね。
以下の記事で、あなたが就職・転職に成功するために、求人サイトを上手に活用するコツを解説しています。
満足できる就職・転職が出来ますように、応援しています!
\理学療法士17年目のイチノセです/
- リハビリテーション部 部長
- 10年以上”人事”業務を兼務し、病院全体の採用業務を担当。
- 300人以上の人事・採用を担当
- 年収700万超え
- これまでの経験を活かし、理学療法士の働き方や転職に関する情報を発信中。
訪問リハの給料が高い理由3つ
- 固定費が少なくて済む
- コメディカルに割ける人件費率が高い
- 単位消化がそのまま自分に還元されやすい
1.固定費が少なくて済む
訪問リハの給料が高い理由の一つは、固定費が少なくて済むことです。
訪問リハでは、施設運営に伴うコスト(施設の賃貸料、光熱費、設備費など)がほとんど発生しません。
例えば、訪問リハは自宅訪問のため、事業所はアパートの一室で可能です。
そのため、病院と比べて光熱費や設備費もかかりません。
2.コメディカルに割ける人件費率が高い
訪問リハは施設運営にかかる固定費が少ないため、結果的に人件費率を高く設定することが可能となります。
企業や事業が総収入に対して人件費にどれだけの割合を費やしているかを示す指標のこと。
高い人件費率は、収益の多くが従業員に還元されていることを示し、低い人件費率はその他の運営コストや利益の割合が高いことを示す。
令和4年中小企業実態基本調査および令和4年度介護事業経営概況調査によると、各業種と訪問リハ(訪看)の人件費率は以下の通りです。
業種 | 人件費率 |
---|---|
飲食サービス業 | 38.0% |
製造業 | 20.8% |
情報通信業 | 31.6% |
小売業 | 13.0% |
訪問リハ(訪看) | 73.9% |
上の表を見ると、訪問リハビリの収益の大部分が従業員の給与に充てられていることが分かりますよね。
人件費率に多くのスペックを割けるから、給料が高いんです◎
訪問リハ(訪看)に医師は必要なし
また、訪問看護によるリハには、高い給料を必要とする「医師の在籍」が必要ありません。
人件費の比重をコメディカルに割くことが出来る点も大きいです。
3.単位消化がそのまま自分に還元されやすい
固定費の少ない訪問リハでは、訪問件数や単位消化に応じて給料が決まるインセンティブ制度を導入しやすいです。
単位消化が増えれば、直接的に収益が上がる為です。
2024年度の診療報酬改定による訪問リハ(訪看からのリハ)への影響と問題点
ここまでだと、「訪問リハ最高!」となりますよね。
しかし、近年の診療報酬改定や国の流れから、手放しにおすすめ出来る状況ではなくなってきているのが現状です。
- 予防介護リハビリテーション料の減算
- 40分(2単位)×週2回×1年で約5万円の収入減
- 今後は看護師:理学療法士の人数割合にも言及してくる可能性あり
予防介護リハビリテーション料の減算
2024年度の診療報酬改定では、訪問看護におけるリハビリテーションの減算が決定しました。
要介護の方のリハビリにおける減算
事業所全体の介入回数 | 緊急時訪問看護加算・特別管理加算・看護体制強化加算 | |
---|---|---|
算定している | 算定していない | |
看護士≧リハビリスタッフ | 減算なし | 8単位減算 |
看護師<リハビリスタッフ | 8単位減算 | 8単位減算 |
要支援の方のリハビリにおける減算
事業所全体の介入回数 | 緊急時訪問看護加算・特別管理加算・看護体制強化加算 | |
---|---|---|
算定している | 算定していない | |
看護士≧リハビリスタッフ | 12ヶ月を超えた介入で5単位減算 | 8単位減算 (12ヶ月以上介入で更に15単位減算) |
看護師<リハビリスタッフ | 8単位減算 (12ヶ月以上介入で更に15単位減算) | 8単位減算 (12ヶ月以上介入で更に15単位減算) |
40分(2単位)×週2回×1年で約5万円の収入減
上記の減算がどのくらい影響があるか、計算してみます。
- 要支援の12ヶ月以上継続して介入している方
- 1回介入40分(2単位)×週2回介入と想定
1回介入あたりの 減算単位 | 23(8単位+15単位)×2 =46単位 |
週2回介入した場合の 減算単位 | 92単位 |
1年間の 減算単位 | 4416単位 |
1利用者あたりの 1年間の減算(収益減)額 | 約50,000円 (地域によって1単位当たりの値段が違う為”約”で表記) |
1利用者あたり約50,000円の収入減・30人で150万円もの収入減につながる可能性があります
今後は看護士:リハビリスタッフの人数割合にも言及してくる可能性あり
さらに厳しいのが、今後1事業所当たりの「看護師:リハビリスタッフ」の人数割合に言及してくる可能性があることです。
2021年介護報酬改定を巡る議論では、訪問看護事業所における看護士の割合を6割とする案が厚生労働省から出されました。
今回の診療報酬改定では見送られましたが、今後「看護士の割合を増やす」と言及する可能性は消えていません。
そうなると、訪問リハ(訪看)のリハビリスタッフの立場・最悪の場合は首になる可能性があることを把握しておく必要があるでしょう。
訪問リハを検討する際に注意すべきこと3つ
- 求人票の給料だけで判断しない
- 昇給率を必ずチェックする
- 診療報酬改定を踏まえた今後のビジョンを確認する
求人票の給料だけで判断しない
求人票の給料だけで判断するのは避けましょう。
高給を提示している求人でも、労働条件や職場環境が不十分な場合があります。
昇給率を必ずチェックする
訪問リハ(訪看)を検討する際は、給料だけでなく、昇給率を必ずチェックしましょう。
昇給率が低い場合、長期的な収入の向上が見込めません。
長く勤めるほど、昇給率が年収を左右してきます。
実際、初任給の高い職場を選んだのに、昇給がほとんどなく、転職を検討している人も多いです。
昇給率は必ず確認し、将来の収入見込みを考慮した職場選びをしましょう。
診療報酬改定を踏まえた今後のビジョンを確認する
よさそうな職場を見つけたら、「診療報酬改定を踏まえた今後のビジョン」を確認しましょう。
働くスタッフの生活を本気で考えている職場なら、今回の診療報酬改定や今後起こりうる問題にも向き合っているはずです。
注意すべきなのは、「儲けるだけ儲けて、事業が傾いたら撤退」を考えている事業所もあるということ。
そのような事業所では、安心して働けないだけでなく、万が一の際に大きなリスクを背負う可能性があります。
今後起こりうる問題をどうとらえ、どう解決しようとしているのか、事業所の将来性を見極めましょう。
訪問リハへの就職・転職に失敗しない為の方法
訪問リハを検討する際の注意点は、就職・転職に失敗しない為に、とても重要です。
しかし、自分ひとりで情報を入手するには、限界がありますよね。
直接聞きにくい情報を事前にゲットするなら、求人サイトの担当者に確認してもらいましょう。
求人サイトと聞くと、「しつこそう」とかネガティブな印象を持つ方も多いと思います。
たしかに、求人サイトの方もボランティアや慈善団体ではないという前提を理解しておくことは重要です。
しかし、だからといって、求人サイトを利用せず、必要な情報を知らないままの転職は、万が一のリスクが大きく、後悔に繋がりやすいデメリットがあります。
あなたの希望する連絡方法や、希望する連絡時間帯・今は求人を見たいだけなど、希望を正しく伝えれば、求人サイトのメリットをフル活用して、納得いく転職活動につながるはずです。
ちなみに、PTOTSTワーカーは当ブログの調査で満足度が抜群に高かったので、おすすめですよ◎
訪問リハについてよくある質問
訪問リハの給料は他のリハビリ職と比べて高いのですか?
はい、訪問リハは高い傾向にあります。
しかし、給料だけで判断せずに、労働条件や昇給率の確認が必要です。
訪問リハは未経験でも可能ですか?
未経験でも可能です◎
個人宅での個々の介入になる為、事業所によっては経験者が優遇される場合もあります。
訪問リハはどのようなスキルが求められますか?
自主性、コミュニケーション能力、様々な疾患に対応できる知識とリハビリ技術が求められます。
まとめ:求人票の給料だけに惑わされずに現状と良質な訪問リハを見つけよう
訪問リハの収益は、診療報酬改定によって変動する可能性があります。
また、昇給率や職場の経営状況、今後のビジョンも重要なポイントです。
特に、2024年度の診療報酬改定で予防介護リハビリテーション料の減算が決まり、要支援の利用者が多い訪問リハビリ事業所では大幅な収入減が見込まれます。
このような影響を事前に把握せずに転職すると、給与が予想よりも低くなってしまうこともありえます。
訪問リハビリの現状や職場環境、将来性をしっかりと確認・納得した上で、就職・転職を成功させましょう。
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